最近“うつ病”が急増しています。現代社会では、職場・家庭・地域社会でさまざまなストレスを生じることが多く、自分の気付かない部分で“うつ病”に陥っているケースが見られます。日本人の約6人に1人が“うつ病”といわれますが、決して気の持ち様でかかるものではなく、脳内への神経伝達機構になんらかの変化が生じる、れっきとした脳の病気で、適切な治療により治るものです。
しかし、うつ病の適切な治療を受けないで重症化した場合、最悪の結果として自殺に至る人も多いのです。自殺者総数は1997年までは2万4千人台だったのに比べ、98年以降は、毎年約3万3千人となり、これらは交通事故による死者の３倍以上となっております。自殺した人の約９割は、何らかの心の病を抱えていたといいます。“うつ病”だとすれば、適切な治療を受け防げたケースも多いのです。

不眠・食欲不振・頭痛・腰痛・肩こり・口の渇き・体のだるさ・便秘・下痢・めまい・耳鳴り・味覚異常・胸部圧迫感・腹部豊満感・性欲減退等の諸症状はうつ病の身体症状としてよく見受けられるようです。ですが、これらの症状を訴えて内科を受診しても“うつ病”と診断されず改善しないことも多いようです。

『休養』『薬物療法』『精神療法』が治療の基本ですが、その中でも、心身ともにゆっくり休養をとることが一番いいようです。太陽光を１日一度は浴びる・買い物を楽しむ・おいしいものを食べる等も精神的な安らぎを与えるツールとして大事な事です。医療の分野では薬の開発もすすんでおり、SSRI、SNRIＩ、RINAなど副作用の少ないものが注目されています。これらの治療薬は、心療内科などで処方され、引きこもりといわれるような社会恐怖症にも効果があり、すでにアメリカや日本でも大規模な臨床治験が開始されています。

私たちも“うつ病”を病気の一つと認識し、治療法を知る事はこれらの問題解決への確かな糸口となるでしょう。

※日本美容健康医療協会新聞より抜粋