エステ業界で発生するトラブル対策として専門医との提携が急務となっています。今回は日本美容健康医療協会の会員で福岡市内など九州各地で7店舗のエステサロンを経営する株式会社「ウンゴロウンゴロ」の城石ゆかり社長をゲストに迎え、当協会の理事であり、協会認定医としてもご活躍の国際美容外科院長・医学博士の荒木義雄先生と対談いただきました。
(司会・日本美容医療協会事務局)
サロンと医師の橋渡し役を担って10年
-最初に、城石さんの日本美容健康医療協会に入会いただいた切っ掛けからお話いただけますか?
城石 知り合いの業者さんから協会の日頃の活動をお聞きし、私どもとしても大いに利用させていただきたいと思いました(笑)。私どものサロンでは加熱式の脱毛器を置き、使用法については、日々スタッフトレーニングしていますが、どうしても不意の事故が発生する可能性は否定できません。その場合、お医者さんに診察してもらうとお客様も安心されます。お医者さんの「心配ないです、すぐに治りますよ」の一言が必要なんですね。
荒木 お客様だけでなく、スタッフの皆さんも不安を抱えず仕事に専念できますよね。
城石 そうなんです。スタッフには会社に対しての信頼になる。会社としては「何かトラブルが発生した場合でも、万全の体勢を整えているから安心ですよ」と言えるんです。ちゃんとした会社なんだという安心感が、スタッフ一人ひとりのモチベーションにも繋がりますね。
荒木 女性の美に対してエステサロンと同じ意識を持ち始めた医者も少しはいますが、医療界の立場からすれば、まだまだです。例えばエステサロンがレーザーで赤くなっているお客様を見て欲しいと思う時に、「そんなことするからだ」という意識があるようです。赤くなった患部を診察して、「それはこういう理由です」と説明をして、その症状だけのコメントをして、お薬を出してあげればいいのに、エステサロンを批判する言葉を発してしまう傾向があるんですよね。
-協会も発足以来、すでに10年になります。協会の活動も女性の美を求めるプロとしての意識を共有できる多くの医師に賛同いただけるようになりました。当初はエステの皆さんにとって窓口を開いていこうということで発足したのですから、安心してドクターサポートを活用いただければと思います。いや、何もない方が良いし、あとはエステティシャンの力量も関係してきますよね。
城石 スタッフを見ていると接客が十分でなく、まだまだ指導していかなければいけない部分もたくさんあると感じています。私どもの店では、非熱式と加熱式の脱毛器を合わせて使って3年になるのですが、近年厚生労働省より「加熱式はエステでするものではないんじゃないか」といわれています。
協会活動へのサロンの期待は大きくなる
荒木 エステに対する厚生労働省の指導の新しい流れとしては、医療分野の管理下で行うシステムとか○○病院の管理下じゃないと開業許可しない方向になりつつあるんです。増えている脱毛トラブルをかかえるエステサロンに対し、厳しい目線を向けているようです。現実は、多くの医者がエステを管理することに積極的ではない。だから、協会では研修会を開催していこうと企画をしているんです。それと同時にエステティシャンの指導もきちんとやらないといけないですね。定期講習会を行うとか・・・そんな時代になってきていますよ。しかし高い意識を持ったサロンしかできないかもしれませんね。そんなサロンがまだまだ増えていかないといけません。僕たちは敵ではなく協力していこうという思いから協会活動を展開しているのですから、サロンの皆さんに入会していただくことが、トラブルも少なくなり、結果としてはサロンのお客様獲得にも繋がるはずなんです。
城石 そうですね。だから私たちは、お客様に早く結果を出してあげたいですし、トラブルは避けたいので協会に入っているんです。医療というバックヤードがあっての施術は、やはり安心です。
荒木 医師の管理下という意味で言うと、例えば、皮膚科へエステティシャンを派遣してスペースを借りて施術をすれば、当サロンは医者指導のもとで行っていますと言えるんですが、難しいでしょうね。一般の人が医師を使うのはまず無理でしょう。うまくいった話は知りません。クリニックは法律の縛りがありますし、問題も多いと思いますよ。
城石 スタッフの教育も大事ですが、同時にマネージメントも大切だと思っています。当然のことですがお客様をどう満足させるかには、奥深いものがあります。また、医療機関へスタッフを研修に行かせるとか、教育をしていくことが必要ですね。
-協会としても多くの会員の方々の声によって、皆さんのためになる施策であれば、ぜひ実現に向けて前向きに取り組んでいきたいですね。 |